うしろから撮るな 俳優織本順吉の人生

撮る者 vs 撮られる者、
それが最期の対話だった─

登場人物 織本順吉 中村矩子
プロデューサー 正岡裕之
編集 山内洋子
音響効果 金田智子
ポストプロダクション 株式会社千代田ビデオ3ONE. 大野雅信/田村陽介
アシスタントプロデューサー 小林ひろ子
資料提供 ユニオン映画
協力 山谷哲夫 万代博実 株式会社アルファエージェンシー
配給宣伝 株式会社パンドラ
制作 有限会社かわうそ商会
監督・撮影 中村結美
2024年 / 日本 / 82分
公式サイト

日本映画に欠かせない名脇役の最晩年に娘のカメラが迫る。4年間にわたる執念のドキュメンタリー

脇役一筋70年、死の直前まで現役を貫き、92歳で亡くなった俳優・織本順吉。2000本以上ものTVドラマ・映画に出演し、地味だが情感あふれる脇役を演じ続けた織本。だがその裏では、家族と共に生きられない一面があった。その父へ、復讐心からカメラを向けた娘。老いて、体の自由が効かなくなり、セリフ覚えが覚束なくなり、感情を抑えることができず、家族相手に子どものように泣きわめく…。そんな晩年の父を、娘の視点で赤裸々に撮り続けた4年間…。それはカメラを挟んだ格闘であり、カメラを挟むことでようやく向き合えた父と娘の記録でもあった。そして続けるうち、自らの業をさらけ出しているのは、撮られる父か、撮り続ける娘か、わからなくなっていった。

「老いるとは何か? 家族とは何か? 生を全うするとは何か?」 誰もが抱えるこの命題に、父の死を通して向き合う…これは家族のドキュメンタリーである。

「中村正昭で生きていくしかないやん」─父の“仮面”は剥がれるのか?そのとき家族は。

2013年、認知症の兆候が出始めた織本順吉。4年間の撮影を通し徐々に老いは進み、撮影ではミスを連発し、家族に当たり散らす。そんな父に娘は容赦ない言葉を向ける。「嘘ばっかり」「セリフ間違えてたやんか」「もうお仕事は来ないかもしれないのにどうして生きていくん?」。撮影現場や移動中、衣装合わせなど織本の仕事現場から、家族とのプライベートな時間まで、カメラは容赦なく至近距離から織本を撮影し、俳優「織本順吉」の仮面を剥がそうとする。一方、“老い”と見せかけて“演じて”いるのか、わからなくなる瞬間がある。果たして、カメラが“老い”を撮らされているのだろうか?ケンカを仕掛けたつもりが、こちらが踊らされているのだろうか─?そしてカメラは、俳優である織本を支えるため、自らも俳優であった道を諦めた母の姿も映し出す。家族とは25年間別居生活を送っていた織本。娘だからこそできた赤裸々な撮影が、カメラを通して初めて家族が対峙するスリリングな瞬間を捉える。

俳優の老いを真正面から捉える

「体のこの辺にな、演じる役がいつもまといついてんだよ。それを引き離すことができないんだよ。そんな気持ちわかんねえだろ」。カメラが明らかにするのは、“俳優の老い”でもある。かつてセリフ覚えの良さから数々の役柄に起用されてきた織本。その人生は「覚えては忘れる」の繰り返しであった。「俺たちの仕事って、覚えたセリフを早く忘れなきゃダメなんだよ。次が入って来ないんだよ。そんなことあの医者にはわからない」。70年にわたり俳優人生を歩んできた織本にとって「忘れる」ことは必須の行為であった。糖尿病との闘病、ままならないセリフ覚え、俳優生活初の降板……今まさに老いに直面する織本の姿は、「演じる」ことを職業とする人間が老いと格闘する姿を映し出している。

上映後トークショー
5/31(土)上映後
登壇者|笑福亭銀瓶さん(落語家)、中村結美 監督

- 開催終了しました -

6/1(日)上映後
登壇者|佐野史郎さん(俳優)、中村結美 監督

- 開催終了しました -

上映スケジュール
5/31(土)・6/1(日) 12:00
6/2(月)~6(金) 13:05
6/7(土)~13(金) 10:00
6/13で終了予定
料金
一般1,900円
シニア1,300円
専門・大学生1,000円
中学生・高校生1,000円
小学生以下700円
会員1,100円
★入場システム、サービスデー・その他割引