暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE

17年前、49歳で突然この世を去った稀代のドキュメンタリー作家、 佐藤真。映画史に燦然と輝く傑作の数々が今蘇る。

まひるのほし 4K
(1998年 / 日本 / 93分)

花子 4K
(2001年 / 日本 / 60分)

エドワード・サイード OUT OF PLACE 4K
(2005年 / 日本 / 137分)

阿賀に生きる
(1992年 / 日本 / 115分)

阿賀の記憶 2K
(2004年 / 日本 / 55分)

保育園の日曜日
(1997年 / 日本 / 20分)

女神さまからの手紙
(1999年 / 日本 / 30分)

※当劇場では4K作品は2Kで上映

配給・宣伝:ALFAZBET
提供:パラブラ、シグロ、阿賀に⽣きる製作委員会、太秦、カサマフィルム、ユーロスペース
4K レストア:ヨコシネ DIA
公式サイト

暮らしの中にある もうひとつの世界の入り口 言葉にからめとられる前の 世界の感触

90年代〜00年代にかけて数々の傑作を⽣み出したドキュメンタリー映画作家、佐藤真。彼は社会運動と映画を=(イコール)にしてきた⽇本ドキュメンタリーの系譜とは異なる独⾃のスタイルを探求した。ありきたりの「⽇常」を撮り、その中に潜むもうひとつの世界への⼊り⼝を探し、⾔葉にからめとられる前の世界の感触を伝えた。2007年に突然この世を去ったが、その⾰新的な⼿法と映画哲学は⾼く評価されており現代映画作家を始め多くの⼈たちに今なお影響を与え続けている。

まひるのほし

表現の快楽、芸術表現の根底に迫る傑作
登場するのは 7 ⼈のアーティストたち。彼らは、知的障害者と呼ばれる⼈たちでもある。『まひるのほし』は神⼾・武庫川すずかけ作業所、平塚・⼯房絵、信楽・信楽⻘年寮で、創作に取り組む彼らの活動を半年以上追い続け、アートと⼈の間を旅したドキュメンタリー映画である。無我夢中でパステルを画布に⾛らせるシュウちゃん、「ナサケナイ」とつぶやきながら陶器を作り続ける伊藤さん。そして⼀⼈の⼥性にあてて、あるメッセージを 1 年間、書き続けたシゲちゃん。撮影したフィルムは 40 時間にも及んだ。そこには⾔葉にできない思いが⻤気迫るメッセージとなって溢れてくる。タイトルの『まひるのほし』には“真昼には⾒えなくてもそこに燦然と輝いている星がある”という思いがこめられている。

1998/93 分/カラー/DCP(4K レストア)/スタンダード
©1998 「まひるのほし」製作委員会
監督:佐藤真/製作:⼭上徹⼆郎、庄幸司郎/撮影:⼤津幸四郎/撮影監督:⽥島征三/録⾳:久保⽥幸雄

花⼦[4K]

アートを⼊り⼝にしたこの映画の出⼝には家族の⽇常が広がっていた。
今村花⼦は家族4⼈で京都に暮らしている。知的障害者のためのデイセンターに通う毎⽇を送る⼀⽅、週末には油絵描きに熱中し、⼣⾷後には畳をキャンバスにたべものを絵の具のように並べるという⽇課を⽋かさない。花⼦に寄り添うのは⺟、知左。花⼦の「たべものアート」を6年前から毎⽇写真に撮り始め、その数は 2000 枚を超えた。そんな⺟娘の傍らで、定年退職後の⽗は芝居に三味線にと忙しい。姉の桃⼦は微妙な距離を保ちながらそんな3⼈を⾒守っている。時には花⼦に⼿を焼きつつも、⽇々くり返される今村家の⽇常。その中で、花⼦はひとり毎⽇変わることな「たべものアート」を作り続ける。⼀⼈のアーティスト今村花⼦と家族が緩やかにつながって暮らす姿が、ときにユーモアをにじませながら淡々と描かれる。

2001 年/60 分/カラー/DCP(4K レストア)/スタンダード
©2001 シグロ
監督:佐藤真|製作:⼭上徹⼆郎|撮影:⼤津幸四郎|⾳楽:忌野清志郎/ラフィータフィー|録⾳:弦巻裕|編集:秦岳志

エドワード・サイード OUT OF PLACE[4K]

パレスチナの窮状を、真実を、和解と共⽣の地平を、探る。
2003年9⽉、パレスチナ出⾝の世界的知識⼈であるエドワード・サイードが亡くなった。後半⽣を過ごしたニューヨークでもなく、⽣誕の地であるエルサレムでもないレバノンのブルンマーナに、2004 年春、サイードの墓はつくられた。彼の複雑な背景を物語るその墓所のエピソードから、映画は始まる。荒れ狂う濁流のような歴史の中を流されるパレスチナの⼟地と⼈々の暮らし。周辺のアラブの国々で難⺠として暮らすパレスチナの⼈々。他⽅、ディアスポラとして⻑年迫害の歴史を⽣きてきたユダヤ⼈達。世界中からイスラエルに帰還してきたそのユダヤ⼈達が抱える、被害と加害の混在する深い⽭盾。世界の核⼼に迫ろうとしていたサイードの精神の在り処を求めて始まった映画の旅は、イスラエル・アラブ双⽅の知識⼈たちの証⾔を道標に、サイードが求め続けた和解と共⽣の地平を探る。サイードの遺志と記憶を辿る渾⾝のロードムービー。

2005 年/137 分/カラー/DCP(4K レストア)/スタンダード
©2005 シグロ
監督:佐藤真|撮影:⼤津幸四郎、栗原朗、佐藤真|企画・製作:⼭上徹⼆郎|協⼒プロデューサー:ジャン・ユンカーマン
整⾳:弦巻裕|編集:秦岳志

阿賀に生きる

人間の命の讃歌をまるごとフィルムに焼き付けたドキュメンタリー映画の金字塔。
新潟県を流れる阿賀野川。新潟⽔俣病の舞台ともなった川。川筋に住む⼈びとは愛情を込めて「阿賀」と呼ぶ。七⼈のスタッフがその川筋に住み込み、そこに住む⼈びとを三年間にわたって撮影した。 阿賀に暮らす⼈と⾵⼟をまるごとフィルムに収めた⻑編デビュー作。

1992年/115分/カラー/DCP/スタンダード
©1992 阿賀に生きる製作委員会
監督:佐藤真|製作:阿賀に生きる製作委員会|撮影:小林 茂|音楽:経麻朗|録音:鈴木彰二

阿賀の記憶[2K]

不在の人と風景。過去と現在を結びつける映画の不思議さ。
『阿賀に⽣きる』から10年。映画に登場した愛すべき⼈びとの多くはこの世を去ってしまった。今は荒れ果ててしまった⽥んぼや、主を失った囲炉裏などにキャメラを向け、⼈々が残した痕跡に記憶を重ねていく。過去と現在を繊細かつ⼤胆に⾒つめた詩的ドキュメンタリー。

2004年/55分/カラー/DCP/スタンダード
©2004 カサマフィルム
監督:佐藤真|撮影:小林 茂|録音:菊池信之| 音楽:経麻朗|編集:秦岳志|プロデューサー:矢田部吉彦|製作:カサマフィルム

保育園の日曜日

娘が通う豊川保育園での様子を映した20分の短編サイレントドキュメンタリー。豊川保育園おやじの会製作作品。

1997年/20分

女神さまからの手紙

子どもの成長の記録と自らを取り巻く環境を記録した私家版ドキュメンタリー。

1999年/30分

舞台挨拶
1/5(日)『阿賀に生きる』17:15の回上映後
登壇者|秦 岳志 さん(ドキュメンタリー映画編集)

※同日『阿賀の記憶』20:00の回をご鑑賞のお客様もトークにご参加いただけます
※トークは19:10頃より開始予定です
※お席は『阿賀に生きる』のお客様を優先させていただきます
上映スケジュール
1/4(土) 18:00 まひるのほし
1/5(日) 17:15 阿賀に生きる
20:00 阿賀の記憶
1/6(月) 10:00 花子
11:25 保育園の日曜日+女神さまからの手紙
1/7(火) 10:45 まひるのほし
1/8(水) 10:00 エドワード・サイード OUT OF LACE
1/9(木) 10:00 エドワード・サイード OUT OF LACE
1/10(金) 10:20 阿賀に生きる
1/11(土) 18:35 エドワード・サイード OUT OF PLACE
1/12(日) 18:05 花子
19:30 保育園の日曜日+女神さまからの手紙
1/12で終了
料金
一般1,900円
シニア1,300円
専門・大学生1,000円
中学生・高校生1,000円
小学生以下700円
会員1,100円
★入場システム、サービスデー・その他割引
『保育園の日曜日+女神さまからの手紙』 料金
一般1,600円
シニア1,300円
専門・大学生1,000円
中学生・高校生1,000円
小学生以下700円
会員1,100円
★入場システム、サービスデー・その他割引
「暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE」前売券使用不可