医学生 ガザへ行く
ガザ 素顔の日常
ガザ・サーフ・クラブ

医学生 ガザへ行く

救急外科医になる夢を叶えるためにガザ地区に留学したイタリア人医学生の葛藤や成長を描くドキュメンタリー。

救急外科医を目指し欧州から初の留学生としてガザへ

イタリア人医学生のリッカルドは、奨学金を得て留学することを決意した。行き先は紛争地域であるガザ地区。友人たちは彼の安全を心配し、動揺を隠せない。しかし将来は救急外科医になりたいと考え、爆発性弾丸による外傷についての論文を書いている彼にとってのガザ行きは、医師となるための実践経験になる。周囲をフェンスで封鎖された「天井のない監獄」と呼ばれるガザに入るのは容易ではない。イスラエル、パレスチナ自治政府、そしてハマスの3つの異なる当局からの許可を得なければならないからだ。極めて複雑なプロセスを経て、欧州から初の留学生としてガザ・イスラム大学に到着すると、学長に歓迎され、ガザ内外のメディアから次々とインタビューを受けることになる。

緊迫する医療現場で医師となる決意を固めていく
多くの期待と注目集める彼はプレッシャーを感じ始める。救急医療の現場に入り、本当に外科医に向いているのかと自らに問うなど、不安やストレスに潰されそうになる。悩むリッカルドを救ったのは、同じく医師を目指す医大生サアディなどのパレスチナ人の若者たちだった。やがて片言のアラビア語を話す彼は現地で人気者となり、徐々に自分の居場所を見つけていく。しかし、イスラエルとの紛争が再燃すると、リッカルドは難しい選択を迫られる。安全のためガザを一時的に離れた彼は、ガザを出られない友人達に心配を募らせる。しばらくしてガザに戻り、無事だった仲間との再会を喜び、絆を深めていく。そしてすぐに、緊迫する救急医療の現場へと飛び込み、傷ついた人々の治療に当たっていく。至近距離で爆撃を受ける体験をしながらも、彼は救急外科医になる決意を固めていく。

監督:チアラ・アヴェザニ、マッテオ・デルボ/脚本:チアラ・アヴェザニ/プロデューサー:エヴァ・フォンタナルス/撮影監督:マッテオ・デルボ 編集:アントニオ・ラッブロ・フランチャ/音楽:ミケーレ・ストッコ、ミルコ・カルチェン、 アレッサンドロ・グロッソ/出演:リッカルド・コッラディ-ニ、サアディ・イェヒア・ナクハラ/制作:アルパ・フィルムズ・プロダクション
原題:Erasmus in Gaza 配給:ユナイテッドピープル / 88分 / スペイン / 2021年 / ドキュメンタリー / 公式サイト

ガザ 素顔の日常

地中海に面した美しいビーチ。サーファーやラッパーに普通の大学生たち。あなたの全く知らないガザ地区へご招待!

「平和が欲しい。ただ普通に暮らしたい。」

ガザ地区と聞いたら「世界で最も危険な場所」「紛争地」など戦争のイメージを思い浮かべるのではないだろうか?そんなあなたはこの映画で全く違うガザの一面を発見することだろう。穏やかで美しい地中海に面しているガザの気候は温暖で、花やイチゴの名産地。若者たちはサーフィンに興じ、ビーチには老若男女が訪れる。海辺のカフェの飛び切りハイテンションな店主に朝会えば、間違いなく誰もが幸せな一日を過ごせるはずだ。他にも妻が3人、子どもが40人いる漁師のおじいちゃんなどが登場する。こんな個性豊かなガザの人々にきっと魅了されるに違いない。しかし現実は過酷だ。陸も海も空も自由が奪われたガザは「天井のない監獄」と呼ばれ、住民の約7割が難民で貧困にあえいでいる。それでも日常を力強く生きようとする人々がいる。19歳で現実逃避するためにチェロを奏でるカルマは海外留学して国際法や政治学を学びたいと考えている。14歳のアフマドの夢は大きな漁船の船長になり兄弟たちと一緒に漁に出ることだ。「欲しいのは平和と普通の生活」。ガザの人々は普通の暮らしを今日も夢見ている。

ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル監督作品 配給:ユナイテッドピープル / 92分 / アイルランド・カナダ・ドイツ / 2019年 / ドキュメンタリー / 公式サイト

ガザ・サーフ・クラブ

僕らはこの海で、自由をつかむ。

世界最大の「天井のない監獄」に閉じ込められたガザの若者たちは、自由と解放を求めてサーフィンに興じる。その熱意は海の先へと向かうが…

イスラエルとエジプトに挟まれたガザ地区は、約200万人の人々が狭い土地に閉じ込められている。経済封鎖が続くガザでは船舶の自由な出入りはなく、入る物資も出ていく物もほとんどない。若い世代は仕事もなく、未来への展望のないまま日々を送っている。2014年のハマスとイスラエル間の紛争は、イスラエル軍の地上侵攻に発展し、多くの人命が奪われ、多くの建物が破壊された。しかし、このような状況下でも、若い世代は自由を求めて海に繰り出し、サーフィンに興じている。厳しい制裁にもかかわらず、多大な努力の末、約40本のサーフボードがガザに持ち込まれ、ガザ市のサーフ・コミュニティはにわかに盛り上がっているのだ。海で感じられる刹那の幸せや自由を求めて集う若者たち。彼らの視線の先には自由な世界が広がっているが、果たしてその扉は開くのだろうか?

監督:フィリップ・グナート、ミッキー・ヤミネ 原語:アラビア語 / 英語 / ハワイ語 字幕:日本語 配給:ユナイテッドピープル 字幕:額賀 深雪 字幕監修:岡真理 / 2016年 / ドイツ / 87分 / 公式サイト

トークショー
日 時|3/24(日)『医学生 ガザへ行く』10:00の回上映後
登壇者|岡 真理さん(早稲田大学文学学術院教授/専門:現代アラブ文学、パレスチナ問題)

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岡 真理(おか・まり)
早稲田大学文学学術院教授、京都大学名誉教授。1960年生まれ。東京外国語大学アラビア語科卒、同大学大学院修士課程修了。在学時代、パレスチナ人作家ガッサーン・ カナファーニーの小説を通してパレスチナ問題、アラブ文学と出会う。エジプト・カイロ大学に留学、在モロッコ日本国大使館専門調査員、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て現職。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。著書に『棗椰子の木陰で 第三世界フェミニズムと文学の力』(青土社、初版2006年、新装版2022年刊)、『アラブ、祈りとしての文学』(みすず書房、初版2008年、新装版2015年刊)、『ガザに地下鉄が走る日』(みすず書房、2018年)、『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』(大和書房、2023年)ほか。
WEBチケットについて
上映期間
2024/3/17(土)~30(金)

- 上映は終了しました -

料金
一般1,900円
シニア1,300円
専門・大学生1,000円
中学生・高校生1,000円
小学生以下700円
会員1,100円
★入場システム、サービスデー・その他割引