《戦争と正義》破壊の自然史 / キエフ裁判

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Introduction

連合軍による史上空前の大空爆とナチ・ドイツを断罪する軍事裁判——

過去の戦争に眼差しを向け現代に警鐘を鳴らす現代映画の最重要映画監督の一人、セルゲイ・ロズニツァが提示する2作のアーカイヴァル・ドキュメンタリー。

戦争を終結させるため多くの民間人を巻き込んだ大量破壊と、戦後処理のため人道に対する罪で個人を極刑に処する裁判に見る《戦争と正義》とは?

カンヌ、ベルリン、ベネチアをはじめ、世界の映画祭で高く評価されているウクライナ出身のセルゲイ・ロズニツァ監督。日本では2020年に初めて紹介されてから現在に至るまで7作品が劇場公開されてきた。ロズニツァは2014年のユーロマイダンとロシアによるクリミア半島の一方的な併合以降、ソ連時代から続くロシアの強権的な政治や近現代の戦争をテーマにした作品を精力的に発表し、独裁主義だけでなく民衆の無関心が戦争に向かわせると警鐘をならしてきた。


「セルゲイ・ロズニツァ《戦争と正義》ドキュメンタリー2選」は、ロズニツァが「戦争」をテーマにした新作アーカイヴァル・ドキュメンタリー2作品の同時公開企画である。第二次世界大戦の終結と戦争責任を問う二つの「正義」に着目し、戦争における当事者の正当性ではなく、普遍的倫理について考える

破壊の自然史

あらゆる人々を焼け焦がした大量破壊 第二次世界大戦末期、連合軍はイギリス空爆の報復として敵国ナチ・ドイツへ「絨毯爆撃」を行った。連合軍の「戦略爆撃調査報告書」によるとイギリス空軍だけで40万の爆撃機がドイツの131都市に100万トンの爆弾を投下し、350万軒の住居が破壊され、60万人近くの一般市民が犠牲となったとされる。技術革新と生産力の向上によって増強された軍事力で罪のない一般市民を襲った人類史上最大規模の大量破壊を描く。人間の想像を遥かに超えた圧倒的な破壊を前に想起する心をへし折られた当時のドイツ文学者たちと、ナチ・ドイツの犯罪と敗戦国としての贖罪意識によってこの空襲の罪と責任について戦後長い間公の場で議論することが出来なかった社会について考察するドイツ人作家W.G.ゼーバルトの「空襲と文学」へのアンサー的作品。

2022|ドイツ=オランダ=リトアニア製作|105分|1.33 カラー・モノクロ|5.1ch|英語/日本語字幕 渋谷哲也

キエフ裁判

戦禍の蛮行を裁く戦勝国による軍事裁判 1946年1月、キエフ。ナチ関係者15名が人道に対する罪で裁判にかけられる。この「キエフ裁判」は、第二次世界大戦の独ソ戦で、ナチ・ドイツとその協力者によるユダヤ人虐殺など戦争犯罪の首謀者を断罪した国際軍事裁判である。身代わりを申し出る母から無理やり幼子を奪いその場で射殺し、生きたまま子供たちの血を抜き焼き殺すという数々の残虐行為が明るみになる。被告人弁論ではありがちな自己弁明に終始する者、仲間に罪を擦りつける者、やらなければ自らも殺されたと同情を得ようとする者と、その姿にハンナ・アーレントの<凡庸な悪>が露わになる。アウシュヴィッツやバビ・ヤールの生存者による未公開の証言も含み、「ニュルンベルク裁判」と「東京裁判」に並ぶ戦後最も重要な軍事裁判が現代に蘇る。

2022|オランダ=ウクライナ製作|106分|モノクロ 1.33|5.1ch|ロシア語、ウクライナ語、ドイツ語|日本語字幕 守屋愛

WEBチケットについて
上映期間
2023/8/12(土)~2023/9/8(金)

- 上映は終了しました -

料金
一般1,800円
シニア1,200円
専門・大学生1,000円
中学生・高校生1,000円
小学生以下700円
会員1,000円
★入場システム、サービスデー・その他割引