チャンブラにて
チャンブラにて
A Ciambra
「感動的で美しい映画」
―マーティン・スコセッシ
2017年/イタリア・アメリカ・フランス・スウェーデン/118分/武蔵野エンタテインメント 配給/R15+
©2017 STAYBLACK PRODUCTIONS SRL E RT FEATURES U.S. LLC TUTTI I DRITTI RISERVATI
監督 ジョナス・カルピニャーノ
出演 ピオ・アマート、クドゥ・セイオン、ヨランダ・アマート
料金
(当日)
一般 1,800円/専門・大学生 1,500円
シニア 1,100円/中学・高校生 1,000円
会員料金1,000円 ★ナナゲイ会員新規ご入会随時受付
公式サイト http://ciambra.musashino-k.jp/
家族、生活のために盗み売り、子供ですら、タバコを吸い、酒を飲む。
境遇を忘れ去ろうとするかのように。
ロマたちの本当の生活に即した、超ドキュメンタリスティックなドラマ。
イタリアのラブリア州レッジョ・カラブリア県に位置するジョイア・タウロと呼ばれるコムーネ(=共同体)。そこにあるスラムと化したひとつの通り、チャンブラには大昔から差別を受け続けているロマという民族の一部の人たちが住んでいる。ロマは元々、旅をしながら暮らす流浪の民だったが、異教徒と揶揄されるようになり、移動や行商の制限を受け、さらには生活、福祉、教育、仕事、医療といった生活に関わるあらゆることの迫害を受けたため、劣悪な環境にも関わらずチャンブラに定住せざるを得ない状況にある。まともな職に就けないロマたちの生活手段は、他人の物を盗み、それを売ることである。術はそれしかないのだ。

『チャンブラにて』を監督したジョナス・カルピニャーノも2011年、ジョイア・タウロに訪れた際、ロマから撮影機材一式が積まれた車を盗まれた。その捜索をしている折、カルピニャーノ監督は『チャンブラにて』で見事に主人公を務め上げた14歳のロマの少年、ピオ・アマートと彼の家族に出会い、ロマの非情な生活、ピオの逞しさを知り、愛情と称賛の念を抱くようになる。アマート家の生活に超接近した数々のショットは間違いなく、監督のそういった感情の現れだろう。

主に描かれているのはピオと家族、ロマの暮らしぶりである。ピオよりも明らかに年下の少年ですらタバコを吸い、酒を飲み、車を運転し、博打をし、ダンスミュージックが流れるクラブで踊り、大人に混ざって高笑いをする。救いがない。そんなことはどうでもいいと、すでに高を括っているかのように。しかし、盗みをして、早く家族の役に立ちたいと大人ぶるピオに対し、祖父は見守り、父は厳しい目を向け、母は嘆き、兄は止め、叱る。そういった状況にもがくピオの様子が至極、ドキュメンタリスティックに捉えられているのだ。

『チャンブラにて』にはもうひとつ重要な柱がある。それは、イタリアの南部からやって来たアフリカの新しい移民との関係である。ピオの親友アイヴァもそのひとりだ。母に黙って行動をするピオをアイヴァは時に兄の代わりに叱り、時に助け、ピオは彼の存在を求めるようになり、ふたりの距離は近づいていく。ただ非情なだけではない、ロマの人間としての感情が他者によって揺さぶられる。演者のほぼ全員がチャンブラの生活者、つまり演技に関してはプロではない人たち。彼らの本当の生活、関係性に基づいたストーリーとはいえ、自然な振る舞いに観る者は必ず、驚きと感動を覚えるはずだ。