特集:映像 × 民俗(ヴィジュアル・フォークロア)
【第3期】
日本とアジアを現場(フィールド)に 民俗の諸相を記録し続けて来た
映像制作者集団 ヴィジュアルフォークロア
秘蔵の民俗ドキュメンタリー14作品を月替わり上映
この世界の、謎めいた豊かさを目撃せよ!
【ヴィジュアルフォークロア】
1981年創立。日本とアジアを中心に民俗文化の世界の映像化を行なっている。代表の北村皆雄は、目に映ずるものと耳に聞こえる音や言葉を記録することによって、その土地に生きる人たちの内的なものを浮かび上がらせる映像民俗学の世界を追ってきた。
定期上映の開催にあたって
映画監督・ヴィジュアルフォークロア代表 北村皆雄

24歳の時に、沖縄久高島と出会ってから50年間、映像によって民俗の世界を追ってきた。日本とアジア地域の神事、秘祭、芸能、宗教、民俗、歴史の記録をして、すでに消えてしまったものも多い。
今回、ヴィジュアルフォークロアの仲間たちと共に民俗の古層に潜りカメラを向け続けてきた作品が、観客の心に少しでも届いてくれたら、それ以上の喜びはない。
【料金・チケット】
一般:1,500円
専門・大学生:1,200円
シニア:1,100円
中学・高校生:1,000円
小学生以下:700円
会員料金:1,000円
会員料金について
上映館…第七藝術劇場(6階)・シアターセブン(5階)
それぞれ各館の会員のみ割引となります。
(ナナゲイ会員はナナゲイでのみ1,000円、セブン会員はセブンでのみ1,000円)
★お得な3回券
「映像×民俗」3回券:3,600円
(「映像×民俗」上映期間中に使用できます。上映期間中に窓口にて販売いたします)
※複数名でのご利用不可。ご本人様のみご利用いただけます。

第3期
【第3期 上映作品】
■(第1講) 7月
母ちゃんたちの力と愛
米騒動100年映画『百年の蔵』(2018年)
ふるさとから遠く離れて
『日暮里・三河島物語―韓国・済州島からの人々』(1996年)
『無国籍 トウキョウのチベット人』(1995年)
■(第2講)8月
死者に会うー生まれ変わりの山
『精霊の山 ハヤマ』(2007年)
先住民の神話世界/神と語る人たち
『原インドの世界』(1995年)
『アジアのシャーマン』(2014年)
■(第3講)9月
神に捧げられた女たち
『デヴォキ〜ヒマラヤの女神たち』(1992年)
聖と俗の街かど・カトマンドゥ物語
『母神〜カトマンドゥ・女たちの一生』(1995年)
『カトマンドゥ・僕たちの路上生活』(1996年)
■(第4講)10月
秘儀の島にて
『アカマタの歌 海南小記序説 / 西表島・古見』(1973年)
琉球弧・幻想島紀行
『ニライの海―与那国島』(1974年)
『ユークイ 沖縄祈りの島―宮古・池間島』(1974年)
『上布にかける青春―沖縄・宮古島』(1976年)
『風狂の歌者・嘉手刈林昌―伝説の恩納ナベを唄う』(1978年)

第3期
【第3期】第1講
2019年 7月13日(土)〜19日(金)
米騒動100年映画  百年の蔵
(2018年/99分/HD/カラー/16:9)
大正七年(1918)
北陸・富山 母ちゃんたちの愛と非暴力の20日間戦争

大正デモクラシーの先駆けとなった〈米騒動〉。それは、富山湾の漁師町・魚津の母ちゃんたちがあげた声からはじまった。「米を安く売って」「米を他所へやらんといて」父ちゃんや家族のお腹を満たすため必死の懇願だった。
米騒動のわずか17日後、魚津町は貧民の救済と米の安売りに乗り出し、一万人の人々の生きる道が開かれる。なぜ母ちゃんたちの声は聞き届けられたのか?100年前の事件が私たちに遺したものとは?漁師町・魚津から起こった日本最大の民衆蜂起〈米騒動〉、一世紀を経て、その驚きの実態と結末が明らかになる。

【監督】神 央
【撮影・プロデューサー】三浦庸子・北村皆雄
【語り】佐藤B作
※バリアフリー上映対応作品 UDCASTアプリをダウンロードした端末を持参の場合、視覚障害者用音声ガイドまたは聴覚障害者用日本語字幕をご利用できます。
日暮里・三河島物語 〜韓国・済州島からの人々〜
(1996年/36分/SD/カラー/16:9)
東京荒川区の「日暮里」「三河島」駅周辺は韓国朝鮮出身者が多く、在日の歴史が刻まれている所だ。日韓併合(1910)後から戦時中に移住した一世と、その二世、三世、四世、また、ニューカマー(新参者)も住んでいる。中でも、済州島高内里出身者が多く、今では故郷の人ロを越えた。いつ、どうして、ここに移り住み、どのように暮らしてきたのか。日本人と国際結婚する若者達、日本に墓を作る人たちも増えている。日韓の歴史の上に立って今後どう生きようとしているのか。在日韓国済州島の人たちの生き方、考え方、アイデンティティーを探る。

【ディレクター】北村皆雄
【撮影】柳瀬裕史・北村皆雄
【プロデューサー】みうらようこ
【学術協力】崔 吉城(広島大学教授)・大野祐二(民族振興会研究員)
【ナレーター】赤座美代子
無国籍 トウキョウのチベット人
(1995年/36分/SD/カラー/16:9)【参考上映】
標高平均4500メートルのチベット高原にある中国チベット自治区は、仏教を篤く信仰するチベット人のふるさとである。ヒマラヤ山脈の標高5000mの道なき道を超えて多くのチベット人が国外に亡命した。日本国内に40数名、東京には14人のチベット人が生活している(1995年取材当時)。その多くが無国籍人として日本に生きることを選択している。日本での生活のこと、授かった子供の帰属など、揺るぎない信念と現実の間で葛藤する、無国籍チベット人たちの思いを追った。

【ディレクター】弘理子
【撮影】高橋愼二
【音響デザイン】山崎宏
【プロデューサー】村皆雄
【語り】伊藤惣一
上映スケジュール
【第3期】第1講
7/13(土)〜19(金) 10:20〜 母ちゃんたちの力と愛
米騒動100年映画 『百年の蔵』
第七藝術劇場(6階)
13:00〜 ふるさとから遠く離れて
『日暮里・三河島物語
  ―韓国・済州島からの人々』
『無国籍 トウキョウのチベット人』
シアターセブン(5階)
【レクチャー 】
★7/13(土)『百年の蔵』10:20の回上映後 レクチャー予定
 登壇予定者:神央監督
 

【第3期】第2講
2019年 8月17日(土)〜23日(金)
精霊の山 ハヤマ
(2007年/100分/SD/カラー/16:9)
東北には、人々の集落のほど近いところに、ハヤマ(端山・羽山・葉山)やモリの山と呼ばれる小さな山があります。日本では古来、目に見えないものとのつながりを大事にする伝統があり、ハヤマは山の神、山の精霊、祖霊の住処とされてきました。こうした信仰は今も生きています。人も自然の精霊たちも死者もすべてのものが共に生きるという「ハヤマ」「モリの山」の思想は日本人の死生観、生命観の根幹を形作るものです。この山を通して、東北の人たちが「死」や「いのち」と、どう向き合ってきたのかを知ることができます。日本人の心の原風景や生命観を、国の指定・選定重要無形民俗文化財である東北の民俗行事「木幡の旗祭り」「金沢の羽山ごもり」「山寺の夜行念仏」「三森山のモリ供養」を通して紹介します。思想家・中沢新一脚本による意欲作。地元山形の文化人、経済人の千歳栄の思いからこの映画が生まれた。

【企画】千歳栄
【脚本】中沢新一
【監督】北村皆雄
【制作】三浦庸子
【語り】小林勝也
原インドの世界
(1995年/55分/SD/カラー/4:3)
<PART1>豊饒の馬 ラトワの儀礼壁画
<PART2>ベンガルの語り絵師・ポトゥア

インド東西の代表的な先住民、ラトワ(グジャラート州)の儀礼壁画とサンタル(西ベンガル州)の語り絵を通して、インド文化の深層を成す原インドの世界観をさぐる。インド風土の根源的な命と出会う。

【監督】北村皆雄
【撮影】八幡洋一
【制作】三浦庸子
【監修】小西正捷(立教大学教授)<PART1>・西岡直樹(インド植物・民俗研究家)<PART2>
【語り】麿 赤兒<PART1>・榎木孝明<PART2>
アジアのシャーマン
(2014年/59分/SD/カラー+白黒/16:9)
シャーマンとは、神懸かり・トランスによって非日常的な世界と交流し、予言、託宣、病気治療などをおこなう人たちのことをいう。その行為は、世界の各地のあらゆる民族がもつ精神的・宗教的なもので、 人間の営みのもっとも根源的な部分を解き明かす鍵になると考えられる。この記録映像は、1980年から2005年にかけて、アジアの9ヶ国、 14地域のフィールドで出会ったシャーマンの生の姿をとらえたものである。
※【ロシア/モンゴル国】【ロシア/サハリン】は映像のみで音声はありません。

【監督】北村皆雄
【制作】三浦庸子
【学術協力・映像提供】宮本馨太郎((財)宮本記念財団)、崔吉城(広島大学名誉教授・東亜大学教授)、岩田勝(民俗芸能研究)、モンゴル国営放送
上映スケジュール
【第3期】第2講
8/17(土)〜23(金) 12:30〜 死者に会うー生まれ変わりの山
『精霊の山 ハヤマ』
第七藝術劇場(6階)
15:20〜 先住民の神話世界/神と語る人たち
『原インドの世界』
『アジアのシャーマン』
シアターセブン(5階)
【レクチャー】
★8/17(土)『精霊の山 ハヤマ』12:30の回上映後 レクチャー予定
 登壇予定者:北村皆雄監督

【第3期】第3講
2019年 9月14日(土)〜20日(金)
デヴォキ〜ヒマラヤの女神たち〜【劇場版】
(1992年・2019年/70分/SD/カラー/4:3)
ヒマラヤ山麓に残るデヴォキと呼ばれる女性たちの記録。ヒンドゥー教のドゥルガー女神を篤く信じるこの地方では、さまざまな祈願の代償として幼い少女を寺院に捧げる習慣が残されていた。少女たちは神の妻とみなされ世俗的な結婚は許されず、数奇な人生を送ることとなる。ネパールの研究者との2年にわたる調査研究に基づいた貴重な記録映像であり、いにしえの寺院娼婦を伝える彼女たちの姿を通して、ネパール社会のタブーに切り込む問題作である。未公開カットを追加した劇場版にて初公開する。

【監督】弘理子
【撮影】R.バスネット・弘理子
【プロデューサー】北村皆雄
【学術協力】G.M.グルン
母神〜カトマンドゥ・女たちの一生〜
(1995年/36分/SD/カラー/16:9)
ネパールの首都カトマンドゥは、八母神の祠で取り囲まれている。母神たちは手に剣をもち、目に見えない悪霊や病気を追い払う町の守護神なのである。一方、家や人々の生活を守るのは町に住む女たちである。無垢な力を持つとされる幼い少女、母なる力を持つとされる年老いた女たちは神格化され、周囲の人々から敬われている。さまざまな姿で人々の生活を守る女たちの姿を、貴重な資料映像も含めて紹介する。

【ディレクター】弘理子
【撮影】高橋愼二
【プロデューサー】北村皆雄
【監修】寺田鎮子(ネパール研究家)
カトマンドゥ・僕たちの路上生活
(1996年/45分/SD/カラー/16:9)【参考上映】
ネパールの首都カトマンドゥの路上に暮らす少年たちが、王立劇場で演劇を演じることになった。タイトルは「僕たちの路上生活」。彼らの路上生活の悲喜こもごもを、そのまま、自分たちが演じるのだ。主役は12歳のタマン君。普段は路上でゴミ拾いをして生活している。空き缶・空き瓶・プラスチックを拾って廃品回収のインド人に売り渡して日銭を稼ぐ。様々な理由で路上に生きることになった少年たちの生い立ちと日々の暮らし。カトマンドゥの街かどでたくましく生きるその姿を追った。

【ディレクター】弘理子
【撮影】高橋愼二
【音響デザイン】山崎宏
【プロデューサー】北村皆雄・みうらようこ
【ナレーター】兵藤ゆき
上映スケジュール
【第3期】第3講
9/14(土)〜20(金) 12:30〜 神に捧げられた女たち
『デヴォキ〜ヒマラヤの女神たち』
【ディレクターズカット版】
第七藝術劇場(6階)
14:45〜 聖と俗の街かど・カトマンドゥ物語
『母神〜カトマンドゥ・女たちの一生』
『カトマンドゥ・僕たちの路上生活』
シアターセブン(5階)
★9/14(土)『デヴォキ』12:30の回上映後 レクチャー予定
 弘 理子[監督]

【第3期】第4講
2019年 10月19日(土)〜25日(金)
アカマタの歌 海南小記序説 / 西表島・古見
(1973年/84分/SD/カラー/4:3)
西表島・古見の豊年祭には、アカマタをはじめ仮面仮装の来訪神が登場する。秘儀の撮影を拒まれたスタッフは、17軒の一つ一つを訪ねて、オーラルヒストリーを記録しすることにした。そこに見えてきたものは、伝統的なアカマタを信仰する土着の人々と新興の宗教を信ずる移住者たちとの対立であった。島を離れた者は、アカマタへの思いを一層胸に抱えて都会で生きていた。このドキュメンタリーは、赤裸々な告白を含むため、長い間上映を封印してきたが、一つの島の記録としての意味を考え、あえて公開することにした。

【監督】北村皆雄
【撮影】柳瀬裕史
【音楽】上地昇
【録音】石河利之・三浦大和
【制作】北村皆雄・松村修・小川克巳
【語り】鈴木瑞穂
ニライの海―与那国島
(1974年/25分/ SD/カラー/4:3)
日本最西端の島、与那国島。ニライの海の彼方にあるとされる幻想のクニ南与那国(パイドナン)を目指して、脱出した歴史があった。ニライを夢見る孤島の伝説と現実を追う。

【監督】北村皆雄
【撮影】柳瀬裕史
【音楽】上地昇
ユークイ 沖縄祈りの島―宮古・池間島
(1974年/25分/SD/カラー/4:3)
ユー(豊穣)をクイ(乞う)は、現在は断絶してしまった池間島の秘祭。島の女性が豊穣の幻聴を聞く夜籠りと御嶽廻りを行う。45年前の女たちの貴重な記録。

【監督】北村皆雄
【撮影】柳瀬裕史
【音楽】上地昇
上布にかける青春―沖縄・宮古島
(1976年/25分/SD/カラー/4:3)
現代宮古島を代表する宮古上布の作家新里玲子(70歳)は、20代で染織りの世界を目指した。彼女の青春を通して、450年以上前から続く上布の歴史と風土が明らかになる。

【監督】北村皆雄
【撮影】杉山昭親
【音楽】上地昇
風狂の唄者・嘉手刈林昌―伝説の恩納ナベを唄う
(1978年/25分/SD/カラー/4:3)
戦後の沖縄を代表する民謡の唄い手・嘉手刈林昌が、琉球王朝時代(18世紀)の一丁文字なき女性農民歌人の琉歌を唄う。恩納なべとは誰か?その伝説を読み解く。

【監督】北村皆雄
【撮影】大久保 敏
【演者】嘉手刈林昌
上映スケジュール
【第3期】第4講
10/19(土)〜25(金) 時間未定 秘儀の島にて
『アカマタの歌 海南小記序説
  西表島・古見』
第七藝術劇場(6階)
時間未定 琉球弧・幻想島紀行
『ニライの海―与那国島』
『ユークイ 沖縄祈りの島
  ―宮古・池間島』
『上布にかける青春
  ―沖縄・宮古島』
『風狂の歌者・嘉手刈林昌
  ―伝説の恩納ナベを唄う』
シアターセブン(5階)
★10/19(土)『アカマタの歌』上映後 レクチャー予定
 北村皆雄監督

【上映終了作品】
第1期
【第1期 北村皆雄作品特選】
『見世物小屋 〜旅の芸人・人間ポンプ一座〜』(1997年)
『カベールの馬 〜1966年イザイホー〜』(1966年)
『女が男を守る島 〜神の島 久高〜』(1984年)
『冥界婚』(2016年)
『チベット死者の書(1994年)』
『バナーラス〜生と死の巡礼都市〜』(1995年)
『修驗 〜羽黒山秋の峰〜』(2005年)
『花祭り〜愛知県設楽郡東栄町 月〜』(1992年)
【第1期】第1講 失われ行く者たち
2018年 11月10日(土)〜16日(金)
見世物小屋〜旅の芸人・人間ポンプ一座〜
(1997年/119分/カラー/4:3)
かつて各地の祭りの場に忽然と現われ、おどろおどろしい絵看板と巧みなコマシで、不思議で怪しい、恐ろしくも珍しい、面白く物悲しい別世界へと引きずり込んだ見世物小屋。飲んだ金魚を生きたまま釣って出す、飲んだ碁石を黒白分けて出すなど、想像を絶する芸で観客の視線をわしづかみにした「人間ポンプ」こと安田里美さんと、一座9人の見世物小屋興行を内側から記録。それぞれに事情を抱えた芸人たちの芸と人生、その光と闇の世界を捉えた。医者も法律も宗教も救えない人たちを「見世物小屋」が救っている。

【監督】北村皆雄
【撮影】明石太郎・高橋愼二
【語り】麿赤兒
【制作】三浦庸子
カベールの馬〜1966年イザイホー〜
(1966年/28分/モノクロ/4:3)
イザイホーは、琉球王朝の聖地・久高島で十二年に一度午年に行われる神事。
島で生まれ育った30歳から41歳までの女性が、島の祭祀集団に参加する神女としての資格を得るために行う。新しいセジ(霊力)を受け、男兄弟を守護するオナリ(姉妹)神、家・村の繁栄と安全を願う神女として新たに生まれ変わる成巫式である。1966年のイザイホーを題材に、島の始祖神話、オナリ神信仰、御嶽、風葬など神の島の精神文化を、北林谷栄演じる老女が語る幻想紀行。1978年を最後に途絶えたイザイホーの貴重な記録。風葬の撮影が物議をかもした北村皆雄の最初期作品である。

【監督】北村皆雄
【撮影】市川雅啓
【語り】北林谷栄
女が男を守る島〜神の島 久高〜
(1984年/48分/カラー/4:3)
イザイホーは、琉球王朝の聖地・久高島で十二年に一度午年に行われる神事。
島で生まれ育1978年を最後に途絶えた沖縄久高島の成巫儀礼イザイホー。年間30を越す神の島の祭祀を担う神女が新たに誕生しなくなったことから、島の年中行事も遠からず消滅するだろうと予測。1982年から84年にかけて記録に乗り出し、撮影した映像は70時間におよぶ。その一部をテレビ放送用にまとめた作品。年中行事を通して、女が男を守るという「オナリ(姉妹)神信仰」の姿が浮かび上がる。劇場初公開作品。

【監督】北村皆雄
【撮影】柳瀬裕史
【制作】三浦庸子

【第1期】第2講 生きている死者 死後の願い
2018年 12月8日(土)〜14日(金)
冥界婚
(2016年/1999年撮影/104分/カラー/4:3)
1999年、34歳の韓国人が遠洋漁業で行方不明になった。誤って海に落ちたのか、それとも事件なのか?残された親・兄妹は、ムーダンと呼ばれるシャーマンのグループに依頼し、儀礼を行う。失恋自殺をした27歳の女性の霊魂との死後結婚を執り行い、あの世での幸福を願う。シャーマンの口寄せで来臨した、死者と生者の感情が交錯し、哭きと恨のめくるめく世界が現出する。海辺の仮設テントでムーダンの磨き上げた芸能と共に展開する笑いと涙の物語。韓国東海岸で活躍したムーダン、人間文化財・金石出(キム・ソクチュル)グループの貴重な記録である。2014年セウォル号沈没の悲劇を契機に完成させた。

【監督】北村皆雄
【撮影】毛利立夫
【翻訳】李惠燕
【出演】金石出とそのグループ
【制作】三浦庸子
チベット死者の書
(1964年/37分/カラー/4:3)
生きている者にとって死とは何か? 苦悩に満ちた輪廻転生を、悟りの道程へと転化させるチベットの死の経典「死者の書」は、今も死に臨んだ人の枕辺で唱えられている。チベット仏教が蓄積してきた死への深い洞察〈タナトロジー〉が生者に語りかけてくるものは何か? 読むだけでは難解な「死者の書」の曼茶羅世界を、わかり易く映像化。鳥葬や死の儀式なども収録。これは、チベット密教の世界が近くなる〈観る経典〉である。劇場初公開作品。

【監督】北村皆雄
【監修・構成】田中公明 
【【語り】米倉斉加年
【曼荼羅撮影】高橋愼二
【読経】ニチャン・リンポチェ
バナーラス〜生と死の巡礼都市〜
(1995年/36分/カラー/16:9)
三千年前、悠久の流れガンジス川のほとりに開けたインド最大の宗教都市バナーラス。ここには、誕生の喜びから死の悲しみまで人間のあらゆる喜怒哀楽を受容し、人々に夢と希望を与え、死と苦しみから救ってくれる再生装置、癒しの仕組みが至る所にある。数ある沐浴場の一つアッスィー・ガートを中心に、生老病死のあらゆる節目で繰り広げられる祈りと暮らしを記録。死期を悟った者が最期の時を過ごす〈解脱の館〉や、超俗的な生活を送る修行者たち、巡礼者とそれを相手にする商売人など、様々な人間模様が展開する。劇場初公開作品。

【監督】北村皆雄
【撮影】長谷川元吉・八幡洋一
【監修】宮本久義
【ナレーター】名古屋章

【第1期】第3講 山の精神(スピリット)
2019年 1月19日(土)〜25日(金)
修驗〜羽黒山秋の峰〜
(2005年/115分/カラー/16:9)
人は、死んで山に入り、山を胎内として再生する。このような古代的感覚を色濃く残す羽黒修験は、中世から密教的色彩に彩られ複雑に儀礼を発達させた。その羽黒修験のなかでも、部外者の立入を禁じ、門外不出とされる9日間の秘密の修行「羽黒修験・秋の峰」を史上初めて撮影。出羽三山(羽黒山、月山、湯殿山)を舞台に、生きながら〈死と再生〉〈生まれ清まり〉を体験する修験者の修行が、精緻な世界観と哲学に裏打ちされていることに驚きを禁じ得ない。秘密の儀礼を通して、日本人が山に対して抱いてきた精神世界が垣間見える。全容を後世にむけて記録保存するという目的のために、特別に撮影が実現した。

【監督】北村皆雄
【撮影】高橋愼二・村口徳行・ 毛利立夫・東野良
【語り】浜畑賢吉
【協力】羽黒山荒澤寺正善院
花祭り〜愛知県設楽郡東栄町 月〜
(1992年/76分/カラー/4:3)
中世末期、天竜川水系に成立した大神楽を祖型とする花祭りは、毎年11月から正月にかけて北設楽郡の十数の地区で行われている。天竜川の交通に伴ってこの地を訪れた修験者や御師によって形成・発展したものと思われ、諏訪・伊勢・熊野信仰の影響がうかがわれる。花太夫が聖なる湯によって神仏をもてなす「湯立て」の神事は宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』のモチーフになったといわれる。イニシエーションの意味を持つ青少年の舞、荒々しい鬼たち、翁など、祭りの場には様々なカミが入れ替わり立ち替わり現れる。山の民の祈りの深層にダイブする記録である。山本ひろ子と神語り研究会の調査・研究をもとに映像化。劇場初公開作品。

【監督】北村皆雄
【撮影】明石太郎・村口徳行
【構成・監修】山本ひろ子と神語り研究会
【語り】伊藤惣一

第2期
【第2期】
『廻り神楽』(2017年)
『海の産屋 雄勝法印神楽』(2018年)
『ほかいびと〜伊那の井月〜』(2011年)
『金子兜太 故郷・人生・井月を語る』(2016年)
『上伊那の祭りと行事30選』(2013年)
『チヌリクラン』(2006年)
『アラヨ』(2006年)
『南島残照 女たちの針突(ハジチ)〜沖縄・宮古諸島のイレズミ〜』(2014年)
『南島残照〜台湾原住民族のイレズミ〜』(2014年)
【第2期】第1講 災害から立ち上がる芸能
2019年 3月23日(土)〜29日(金)
廻り神楽
(2017年/94分/カラー/16:9)
第73回毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞
2017年キネマ旬報文化映画ベスト・テン

岩手県宮古市に根拠地をもつ黒森神楽は、江戸の初期から340年以上、三陸海岸の久慈・釜石間150qを巡り続けて来た。
正月になると神楽衆は、黒森山の神霊を宿した権現様と旅に出る。民家を一夜の宿として、神楽を演じ、亡き人には神楽念仏を唱える。繰り返し津波が襲って来たこの地で、神楽衆は何百年ものあいだ、自然と人間を取り結ぶ役目を果たしてきた。
ザシキワラシやオシラサマ、神々や精霊が今も息づく豊かな三陸の海辺を巡る神楽衆。その通い路に「海の遠野物語」が紡がれる。被災から6年後の人々の願いを描くドキュメンタリー。

【監督・プロデューサー】遠藤協
【監督】大澤未来
【構成】北村皆雄・遠藤協
【撮影】明石太郎・戸谷健吾
【出演】黒森神楽保存会
【語り】一城みゆ希
【昔話朗読】森田美樹子
海の産屋 雄勝法印神楽
(2018年/2012年撮影/77分/16:9)
「海のほとりには、常に生と死、悲しみと悦びの二つの世界が波打っています。」(酒井卯作/民俗学者)
宮城県雄勝半島、石巻市の漁村立浜(たちはま)は、東日本大震災の大津波で46軒中1戸だけを残し被災した。その絶望の淵から立ち上がったのは、村に残ることを決めた12人の漁師たち。
「いっさい、いっさい、海を恨んでいねぇ」と、男たちは生活の再建とともに祭りの復興に乗り出した。流出した一切の神楽面と祭具を作り直し、何もない海辺の居住地跡に柱を立て、舞台を作る。
神楽に憑かれた"好き神"を自称する漁師が祈りの神楽を舞い、二人の太鼓打ちが息を合わせ600 年前と変わらぬリズムを刻む。産屋の庭に神楽が舞い遊び、笛・太鼓の音が、命の誕生を告げる産声のように響く。海辺に立てられた舞台、それは新しい命を再生し、力強く鼓動させてくれる産屋となったのだ。津波から1年後、人々を勇気づけ絆を取り結ぶ芸能の底力を描いたドキュメンタリー。

【監督】北村皆雄・戸谷健吾
【撮影】山田武典・東野良
【出演】雄勝法印神楽保存会
【語り】寺尾聡

【第2期】第2講 放浪と反骨の俳人たち
2019年 4月20日(土)〜26日(金)
ほかいびと〜伊那の井月〜
(2011年/119分/カラー/16:9)
「芥川龍之介に見いだされ、山頭火に慕われ、つげ義春が漫画に描いた井月」
「信州の北の一茶、南の井月」といわれ、芥川龍之介や種田山頭火、金子兜太らが高く評価した放浪の俳人・井上井月(いのうえせいげつ)。井月は、幕末から明治にかけて30年間、信州伊那谷を放浪し、一宿一飯のお礼に俳句を残した。やがて野垂れ死に同然に死ぬ。1800の俳句と聞き書きから浮かび上がるその謎めいた生涯を、ドキュメンタリー&フィクションの手法で描く。舞踊家・田中泯がその境涯を追体験しながら演じ、語りは昨年逝去した女優・樹木希林が務めた。

【監督・脚本】北村皆雄
【撮影】高橋愼二・金沢裕司・明石太郎・北村皆雄
【翻訳】李惠燕
【主演】田中泯
【語り】樹木希林
上伊那の祭りと行事30選
(2012年/63分/カラー/16:9)
幕末明治の放浪の俳人・井上井月が30年に渡って放浪した信州伊那谷。南アルプスと中央アルプスに挟まれた広大な盆地には古からの様々な文化が今も息づく。伊那の研究者・郷土史家と協力して、これまでほとんど知られることのなかった伝統祭事30を選び出し、5年の歳月をかけて撮影。井月もきっと見た、上伊那の祭りと行事の映像記録決定版。

【監督】北村皆雄
【撮影】北村皆雄・櫻庭美保・高橋愼二・金沢裕司・三浦庸子・神央・熊谷友幸
【ナレーター】山田誠浩
金子兜太 故郷・人生・井月を語る
(2016年/25分/カラー/16:9)
俳句界に常に新風を吹き込み、2018年2月に98歳で亡くなった俳人金子兜太。死の2年前、ふるさと秩父へ誕生日祝いに向かう汽車の中で、自らの人生を語った。父母のこと、秩父の風土、エロ歌、困民党のこと、戦争のこと、一茶や山頭火、放浪の俳人井月のことなど。この映画は兜太自身が語った人生の一大絵巻である。自らのエポックメーキングとなった俳句の代表作をこの映画のために万年筆で書いてくれた。

【監督・制作】北村皆雄
【撮影】戸谷健吾・北村皆雄
【出演】金子兜太

【第2期】第3講 南島文化の栄光
2019年 5月18日(土)〜24日(金)
チヌリクラン〜黒潮の民ヤミ族の船〜
(2006年/93分/カラー/16:9)
「戦前の民族学者が憧憬した、世界一美しい船をつくる人々の物語」
台湾の東南海岸沖にある蘭嶼(らんしょ)には、ヤミ(タオ)族が暮らしている。この島では代々「チヌリクラン」という手漕ぎの10人乗りの船が造られてきた。世界で一番美しいといわれる伝統のトビウオ漁船だ。祖先はこの船でフィリピンのバタン諸島からやってきたと伝えられている。
島のイモロド村で27年ぶりにチヌリクランが造られることになった。その船材の伐り出しから、船体づくり、伝統模様の彫刻をほどこすまで丹念に追い、さらに続く進水式の儀礼と処女航海、そしてトビウオの初漁までを一年にわたって記録した。映画は、船長の座をめぐって2人の男が競い合う様子、男たちの伝統的な夜を徹した歌会なども捉えており、チヌリクランにからむ人間ドラマから、蘭嶼の現状が見えてくる。

【監督】アンドル・リモンド
【撮影】後藤一平・金沢裕司・アンドル・リモンド
【制作】北村皆雄・三浦庸子
【別班監督】神央
【語り】小林勝也
アラヨの歌
(2006年/17分/カラー/16:9)
毎年蘭嶼に、トビウオの季節がやってくると、それを追ってアラヨ(シイラ)が回遊してくる。アラヨは「神様の魚」と信じられている。漁解禁の朝、シイラ捕り名人シャプン・マカラシュ(68)は、手作りの小舟で一人沖に漕ぎ出て伝統のシイラ漁にとりかかった。まず活餌のトビウオを捕まえ、舟を漕ぎながら、「アラヨよ、さあ寄ってきてこの釣り針にかかっておくれ、そしたらお礼にこの若い雄鶏をあげよう」と歌いかける。するとアラヨが海面に飛び上がった。水揚げした後、初漁のシイラは伝統にのっとって丁寧に捌かれ、着飾った妻に厳かに迎えられ、誇らし気に漁師の家の干し棚に飾られる。老漁師の語りのみで伝える詩情あふれる短編。

【監督・撮影】アンドル・リモンド
【制作】北村皆雄・三浦庸子
【伝承】シャプン・マカラシュ
南島残照 女たちの針突(ハジチ)〜沖縄・宮古諸島のイレズミ〜
(2014年/64分/カラー/4:3)
沖縄・宮古のおばあたちの手に刻まれたイレズミ〈ハジチ〉。かつて南は与那国島、北は奄美大島・喜界島まで南島女性の象徴として見られたが、明治時代の「文身禁止令」以降、次第に廃れていった。1984年、沖縄本島と宮古諸島にハジチを伝える女性を訪ね歩き、88歳から99歳までの女性22人に自らのハジチについて語ってもらった。激動の世を生きた女たちの人生が、深く刻まれたシワとともに、饒舌な島言葉で語られる。南島のイレズミ文化の消滅直前の貴重な記録である。

【監督】北村皆雄
【撮影】柳瀬裕史・北村皆雄
【監修】名嘉真宜勝
【琉歌】嘉手刈林昌
【わらべ歌】糸満市西崎小学校合唱部
南島残照〜台湾原住民族のイレズミ〜
(2014年/1984年撮影/39分/カラー/4:3)
1980年代、台湾の原住民族9民族のうち主に4民族にイレズミの習俗があった。イレズミは女性にとっては婚姻のできる印、男性にとっては首狩りをして、一人前の男と認められた証しだった。日本の植民地時代(1896-1945)の干渉で首狩りやイレズミの習慣が消えていった。この映像はパイワン族・ルカイ族・タイヤル族・サイシャット族のイレズミを追った貴重な記録である。現在、伝統的なイレズミは見られない。

【監督・撮影】北村皆雄
【監修】山本芳美(都留文科大学教授)