チベット映画傑作選
上映作品

(c)Sonthar Gyal
陽に灼けた道(2010年/中国/89分)
The Sun Beaten Path
監督:ソンタルジャ(『草原の河』)
出演:イシェ・ルンドゥブ、ルジェ ほか

母親の死に対して強い自責の念にとらわれ、心を閉ざしたニマは、深い苦しみを抱えてラサへの巡礼の旅に出る。しかしその巡礼行が彼の心を癒やすことはなかった。失意のままバスで故郷に戻るニマが道中で出会ったのが、家族の問題でやるせない思いを抱えたまま旅を続ける老人だった。老人はニマのことが気がかりでたまらず、バスを降りて共に旅を続ける。老人の温かい語りかけに、ニマは少しずつ心をひらいていく。そのうち老人自身が抱えている問題も明らかにされ、二人は交流するうちに希望の光を取り戻していく。2011年バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー賞。



(c)"A Day in the Life of Tibetan Pastoralists" Production Team
チベット牧畜民の一日(2017年/日本/95分)
A Day in the Life of Tibetan Pastoralists
撮影・編集:カシャムジャ 出演:R家のみなさん、K家のみなさん

電気もガスも水道もない標高3,400mの高地。そこでは人間のもっているありとあらゆる能力を使わないと暮らしていけない。家畜の世話はもちろん、食料や燃料の調達、水汲み、洗濯、放牧、住まいに至るまで、自らの手と足を動かし、生きていくための環境を整える。そんな彼らの日々の暮らしを支えているのは、仏への祈り、山の神への祈りだ。乳しぼりや水汲み、放牧をしながらも祈りの言葉を唱え、生きとし生けるすべてのものの幸せを祈り続けている。そんなチベットの牧畜民の姿を収録した貴重な映像。



(c)Khashem Gyal
英雄の谷(2013年/中国/53分)
Valley of the Heroes
監督:カシャムジャ

チベット語で英雄の谷(ホワロン)と名付けられた土地、東北チベットの化隆では、かつてはチベット文化が栄え、多くの大学者が輩出された。しかし、現在ではムスリムが最大民族となり、学校教育もチベット語ではなく漢語で行われている。『英雄の谷』は、この地においてチベットの言語と文化が急速に衰退していく様を、学生たちの行う教育ボランティア活動を軸として描き出している。ムスリム化したチベット人の生活とモスクでの礼拝の姿、漢語でやり取りしながら遊ぶチベットの子供たち、賭事に興じる男たちの漢語・チベット語が入り混じった会話、ターラーの真言さえも唱えられなくなり目に涙する老婆、それらの映像の連なりを通して、自民族の言語・文化を失う痛みや、その痛みすらも感じなくなった人びとの姿が映し出される。
草原(2004年/中国/22分)
The Grassland
監督:ペマ・ツェテン 出演:アマ・ラド、アナム、ドルマキャプ

一人暮らしのツォモばあさんは、村長から生活保護のために借り受けたヤクを放生のため山に放してしまう。しかしそのヤクが盗まれ、問題となる。村長は昨年放生羊を盗んだ隣の草原の若者たちを疑い、おばあさんを連れて隣の草原の村長に訴えに行く。隣村の村長は若者たちを呼び出し、山神の前で誓いを立てさせるが、若者たちは無実、真犯人は隣村の村長の息子だった。村長は息子に謝罪させようとヤクを引いておばあさんのもとに連れて行く。
北京電影学院の卒業制作として制作されたペマ・ツェテン初監督作品。後の長編で繰り返し用いられるモチーフの原型が凝縮されている佳作。
北京電影学院第3回学生映画祭にてショートフィルム最優秀作品賞、第34回ロッテルダム国際映画祭にてショートフィルム賞を受賞。日本初上映。


(c)Pema Tseden
ティメー・クンデンを探して(2008年/中国=フランス/112分)
The Search
監督:ペマ・ツェテン 出演:メンラキャプ、ツォンディ ほか

一台の車がチベット高原をひた走っていく。車に乗っているのは映画監督、カメラマン、ドライバー、そして皆から社長と呼ばれる男。一行は、チベット歌劇『ティメー・クンデン王子の物語』をモチーフにした次回作の役者探しの旅の途上にあった。社長の案内のもと、村々や寺を回る一行の目の前で、歌劇『ティメー・クンデン』の名場面の数々が、そしてそれに関わる人々のエピソードが披露されていく。監督は果たして自らが思い描く主役に巡り合うことができるのか?2009年上海国際映画祭で審査員特別賞、同年ロカルノ国際映画祭公式招待。


静かなるマニ石(2006年/中国/102分)
The Silent Holy Stones
監督・脚本:ペマ・ツェテン 出演:ロブザン・テンペル、チョクセ ほか

最新作『タルロ』が2015年東京フィルメックスでグランプリと学生審査員賞をダブル受賞したペマ・ツェテンの記念すべき長編第一作。チベットの山村の素朴な暮らしと主人公の少年僧をめぐる人々を描きながら、チベット人が日々何を大切にして生きているのか、新しい時代の到来の中で伝統とどう向き合っているのかが丁寧に描かれる。名匠アッバス・キアロスタミ監督が「私はこの映画に心から感動を覚えた」と絶賛した。“マニ石”とはお経や真言が刻まれた石のこと。


ラサへの歩き方 祈りの2400km(2015年/中国/118分)
PATHS OF THE SOUL
監督・脚本:チャン・ヤン 出演:チベット巡礼の旅をする11人の村人たち

五体投地とは、両手・両膝・額(五体)を地面に投げ伏して祈る、仏教でもっとも丁寧な礼拝の方法。チベットには今も聖地巡礼を、五体投地で礼拝しながら、長い時間をかけて進んでいく人々がいる。「しゃくとり虫のように進む」と説明されるように、やってみれば、いかに進むのが大変かがわかる。本作は、チベットの小さな村の11人の村人が、聖地ラサへ、そして最終目的地の聖山カイラスへ、2400kmもの距離を、なんと1年をかけ、五体投地で行く巡礼旅を描いた驚くべきロードムービーである。過酷に見える巡礼なのに、なぜ彼らは楽しげなのか。その心のありかが見えてくる。

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