動いている庭
Le Jardin en mouvement
「できるだけあわせて、なるべく逆らわない」
フランスの庭師ジル・クレマンの言葉にそって
彼の庭が語りかけるものを切りとったドキュメンタリー。
2016年/日本=フランス/85分/ボタニカルスタジオ 配給

澤崎賢一
ジル・クレマン、エマニュエル・マレス、山内朋樹 ほか
一般・学生 1,500円/シニア 1,100円
中学・高校生 1,000円/小人 700円
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この惑星は、庭とみなすことができる──

パリで行われた展覧会「惑星という庭」で30万人を魅了したフランスの庭師ジル・クレマン。彼は、パリのアンドレ・シトロエン公園の庭やケ・ブランリー美術館の庭をつくったことで知られ、同時に、その背景にある思想が注目を浴びてきた。
クレマンは、講演会のために、2015年の冬に初めて日本を訪れた。計3回開催された講演会は、それぞれ彼の中心的な概念である「動いている庭」「惑星という庭」「第三風景」をめぐるものである。
たとえば、「動いている庭」。そこでは、草や木が自然の遷移の作用として移動し、その移動のダイナミズムの中で庭が構成されていく。それは自然なのか、文化なのか?自然に寄り添い、かたちづくられ、変化し続ける庭は、従来の自然と文化を截然と切り離す二分法に基づく思考の再構成を促すものである。
日本各地を視察するクレマンの中心となる案内人は、彼の著作『動いている庭』を翻訳した庭師の山内朋樹と日本庭園を研究するエマニュエル・マレスである。このふたりと共に、クレマンは日本の庭を訪れ、日本の庭師と交流を深める。果たして、彼は日本の自然や文化に何を見出すことになるだろうか。
「動いている庭」、クレマンの自宅の庭には、その原型がある。クルーズ川に面した広大な庭の中を歩きながら、彼は「谷の庭」や「野原」と名付けられた場所を案内する。多様性に富んだ庭もさることながら、自ら建てた家に太陽光発電を設置し無駄に電気を使用しないことや、自宅の畑で採れた野菜で食事をすることなど、彼の生き方から私たちが学ぶことは多いだろう。すべては、この場所から始まったのである。

できるだけあわせて、なるべく逆らわない──

これは、クレマンの庭師としての基本的な態度である。この言葉にそってつくられた本作は、日本各地を訪問するクレマンと、彼の自宅の庭をロングショットで記録した民族誌的な映像である。クレマンの行為を長回しで撮影する中で、撮影者がカメラになり、そしてそれを通して撮影者は被写体と呼吸リズムを同調させる、呼応するようにクレマンも何か新しい輝きを持った存在になるだろう。

〈ジル・クレマンについて〉
1943年生まれ。庭師、修景家、小説家など、数多くの肩書きをもつ。植物にとどまらず生物についての造詣も深く、カメルーン北部で蛾の新種(Bunaeopsis clementi)を発見している。庭に植物の動きをとり入れ、その変化と多様性を重視する手法はきわめて特異なもの。代表的な庭、公園に、アンドレ・シトロエン公園(パリ、1986-98年)、アンリ・マティス公園(リール、1990-95年)、レイヨルの園(レイヨル=カナデル=シュル=メール、1989-1994年)、ケ・ブランリ美術館の庭(パリ、2005年)などがある。おもな著作として、庭園論に『動いている庭』(1991年)、『惑星という庭』(1999年)、『第三風景宣言』(2004年)。小説に『トマと旅人』(1997年)ほか。

7/1(土)18:40回
澤崎賢一監督、エマニュエル・マレスさん(奈良文化財研究所客員研究員)
山内朋樹さん(京都教育大学美術科講師)トークショー予定
※当日本作ご鑑賞の方のみ対象

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